20代女性が会社を辞めたいときは、退職前に「毎月いくら必要か」「収入がなくても何か月暮らせるか」を計算し、貯金・失業給付・次の仕事の収入を組み合わせて生活費を確保します。勢いで退職すると、健康保険料や年金、住民税の支払いで想定より早く貯金が減ることがあります。まずは退職後の支出と利用できる制度を確認しましょう。
最初に、退職後1か月の生活費を計算する
生活費は「家賃や食費」だけでなく、退職後も続く税金や社会保険料を含めて計算します。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 住居費 | 家賃、管理費、更新料の積立、住宅ローン |
| 水道光熱費 | 電気、ガス、水道 |
| 通信費 | スマートフォン、インターネット |
| 食費・日用品 | 自炊費、外食費、洗剤など |
| 交通費 | 通院、就職活動、帰省など |
| 保険・医療費 | 民間保険、通院、薬代 |
| 税金・社会保険料 | 住民税、健康保険、国民年金など |
| その他 | サブスク、交際費、返済、被服費など |
毎月の支出を合計したら、退職後に必要な貯金の目安を計算します。計算式は「1か月の生活費×仕事が決まるまでの月数+一時的な支出」です。
たとえば、1か月の支出が15万円で、再就職まで4か月かかると仮定した場合、生活費だけで15万円×4か月=60万円です。引っ越し費用、通院費、国民年金保険料などが別に必要なら、その分を上乗せします。
会社を辞める前に確認したい生活費の確保方法
退職後の生活費は、貯金だけでなく、失業給付や次の仕事の収入、支出の見直しを組み合わせて準備します。
貯金で何か月暮らせるか確認する
まず、現在の貯金から、退職後にすぐ必要な費用を差し引きます。家賃や生活費だけでなく、健康保険、年金、住民税、引っ越し費用、通院費なども含めて考えます。
貯金を使い切る前に再就職できるとは限らないため、計算上ぎりぎりの場合は、退職時期を延ばす、転職先を決めてから辞める、短時間の仕事を検討するなどの対策が必要です。
雇用保険の基本手当を確認する
一定の条件を満たして退職した場合、雇用保険から基本手当、いわゆる失業給付を受けられる可能性があります。ただし、退職すれば必ずすぐ受け取れるわけではありません。
受給には、原則として「働く意思と能力があり、求職活動をしていること」などの条件があります。自己都合退職では、手続き後の待期期間に加えて給付制限が設けられる場合もあるため、退職直後の生活費を失業給付だけでまかなう計画は危険です。
受給できるか、いつから、いくら受け取れるかは、雇用保険の加入期間や退職理由、手続きの時期などによって変わります。退職前に、勤務先から受け取る離職票の扱いも含めて、住所地を管轄するハローワークで確認してください。
次の仕事を決めてから退職する
生活費の不安を小さくする方法は、在職中に転職活動を始め、次の勤務先の入社日を決めてから退職することです。収入が途切れる期間を短くでき、失業給付の手続きだけに頼らずに済みます。
ただし、心身の不調や職場の危険がある場合は、収入だけを理由に無理して働き続けないでください。その場合は、休職、傷病手当金の対象になるか、退職後の手続きなどを勤務先の担当部署や健康保険に確認します。
退職後に短時間の仕事をする
再就職までの期間にアルバイトや派遣の仕事をする方法もあります。ただし、働く時間や収入によっては失業給付の扱いが変わる可能性があるため、仕事を始める前にハローワークへ申告方法を確認してください。
また、短期の仕事でも契約条件を確認し、給与の支払日、交通費、社会保険の加入条件を確認しておくと、生活費の見通しを立てやすくなります。
退職後に増えやすい支出を確認する
会社員のときは給与から差し引かれていた費用を、退職後は自分で支払うことがあります。特に健康保険、年金、住民税は、退職後の生活費を考えるときに見落としやすい項目です。
健康保険は3つの選択肢を比較する
退職後の健康保険は、一般に「任意継続」「国民健康保険への加入」「家族の健康保険の扶養に入る」といった選択肢があります。どれが安いかは、退職前の給与、住んでいる自治体、家族の加入状況などで変わります。
- 任意継続:退職前の健康保険を一定期間続ける方法です。会社負担がなくなるため、在職中より本人の負担が増えることがあります。
- 国民健康保険:住所地の自治体で加入します。前年の所得や世帯の状況などをもとに保険料が決まります。
- 家族の健康保険の扶養:収入などの条件を満たせば、家族の健康保険の被扶養者になれる場合があります。認定条件は健康保険ごとに確認が必要です。
退職前に、任意継続の保険料と自治体の国民健康保険料をそれぞれ確認し、比較してください。退職後に病院へ行く予定がなくても、健康保険への加入手続きを放置しないことが大切です。
国民年金の支払いが難しいときは免除・猶予を確認する
20歳以上で厚生年金に加入していない場合、退職後は国民年金への切り替えが必要になることがあります。収入が減って支払いが難しい場合は、免除や納付猶予の制度を利用できる可能性があります。
未納のまま放置すると、将来の年金だけでなく、一定の要件を満たす障害年金などにも影響することがあります。退職後は住所地の市区町村役場や年金事務所で、切り替えと免除・猶予の申請方法を確認してください。
住民税は退職後にも請求されることがある
住民税は、前年の所得をもとに翌年度に支払う仕組みです。そのため、退職後に収入がなくても、在職中の所得に対する住民税の納付書が届くことがあります。
退職時期によって、最後の給与や退職金からまとめて差し引かれる場合と、退職後に自分で納付する場合があります。退職前に、給与担当者へ「退職後の住民税はどのように支払うのか」を確認しておきましょう。
貯金が少ない場合の判断基準
貯金が少ないときは、「辞めたいかどうか」だけでなく、退職後に生活を維持できるかを次の3段階で判断します。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 次の仕事が決まっている | 入社日までの生活費と、健康保険・年金・住民税を確認してから退職する |
| 次の仕事が未定で、数か月分の貯金がある | 失業給付の受給条件と支給開始時期を確認し、就職活動の期間を決める |
| 貯金がほとんどなく、毎月赤字 | 退職前に転職先、家族からの支援、住居費の見直しなどを具体化する |
| 心身の不調や安全上の問題がある | 無理に在職を続ける前に、医療機関、勤務先、健康保険などへ相談する |
貯金が「何か月分あるか」だけでなく、毎月の赤字額も重要です。たとえば貯金が50万円あっても、毎月20万円使うなら、税金や臨時費用を考慮する前に約2.5か月でなくなります。
退職前にやることを順番に整理する
退職を決める前に、次の順番で確認すると、生活費の見落としを減らせます。
- 直近3か月の明細を確認する:家賃、食費、通信費、サブスク、クレジットカードの支出を分け、毎月の最低生活費を計算します。
- 退職後の収入を整理する:貯金、失業給付、次の仕事の給与、家族からの支援などを、確実な収入と未確定の収入に分けます。
- 社会保険と税金を確認する:健康保険の選択肢、年金、住民税の支払額と期限を確認します。
- 退職後の予定を決める:転職活動を始める日、失業給付の手続き日、短時間の仕事をするかどうかを決めます。
- 退職日を決める:給与の支払日、賞与の条件、有給休暇、健康保険の資格喪失日などを勤務先に確認します。
- 退職後に必要な書類を受け取る:離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書など、手続きに必要な書類の受け取り方法を確認します。
手続きの期限や必要書類は制度や加入先によって異なります。退職日が決まったら、勤務先、ハローワーク、市区町村、年金事務所などに、どの窓口で何をいつまでに行うかを確認してください。
20代女性が特に確認したいこと
20代では、転職活動の期間だけでなく、引っ越しや同居、結婚、妊娠・出産などの予定によって必要な生活費や働き方が変わることがあります。予定がある場合は、退職後の健康保険、通院費、住居費、働ける時期をまとめて考えます。
妊娠、病気、強いストレスなどで現在すぐに働けない場合、通常の失業給付と同じ扱いにならない可能性があります。体調を優先し、医療機関やハローワーク、健康保険の窓口に状況を伝えて利用できる制度を確認してください。
また、「実家に戻れば大丈夫」「家族が支援してくれる」と考えている場合も、支援できる金額と期間、住居や通勤の条件を具体的に話し合っておくと安心です。未確認の支援を前提に退職日を決めないようにしましょう。
会社を辞めたいとき、最初にすること
最初にすることは、退職届を書くことではなく、退職後1か月に必要な金額と、貯金で何か月暮らせるかを計算することです。そのうえで、次の仕事、失業給付、健康保険、年金、住民税を確認します。
生活費が確保できるなら、退職後の予定を決めてから退職日を調整します。貯金が少ない場合は、転職先を決めてから辞める、支出を下げる、短時間の仕事を組み合わせるなど、収入が途切れる期間を短くする方法を検討してください。







